2008年7月から9月の3か月間、世界の手仕事好きが集まって「美しい世界の手仕事プロジェクト」を、横浜にて開催しました。
以下に、開催主旨(挨拶文)、展示のテーマ、展開した内容、まとめのご挨拶をご紹介します。
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ご挨拶(開催趣旨)
2008年7月より、「美しい世界の手仕事プロジェクト」がスタートします。
世界各地には、時代を超えて大切に受け継がれてきた手仕事があります。ひとつひとつていねいに、思いを込めて作られた手仕事は、独特の温かさと美しさで、見る人を魅了します。
とりわけ、西・中央・西南・東南アジアなどでは、素晴らしい手仕事が生まれ、現在もなお暮らしの中に息づいています。まさに手仕事の宝庫といえるでしょう。しかし日本ではこれらの地域の情報は多いといえず、イメージがわきにくいことから、誤解を受けることも少なくありません。
今回のプロジェクトは、世界の本物の手仕事、なかでも西・中央アジアなど、これまであまり紹介されていない地域の美しいもの、本物を、もっと気軽に、もっと暮らしに近い場で、もっとたくさんの方々に見て欲しいという願いから生まれました。
会場は、ご縁があって、横浜市都筑区にある住情報施設ハウスクエア横浜内の150坪という広々とした空間を活用させていただけることになりました。今回は9月までの期間限定ではありますが、その後も遊牧民的に活動を続けていきたいと思っています。
美しいもの、手仕事は、人と人、地域と地域をつなぐ架け橋になりうるものだと信じています。手仕事愛好者による手作りのささやかプロジェクトではありますが、皆様のご参加、ご参画を心よりお待ちしております。
<展示&催事のテーマ>
第1回 「バングラディシュの宝物/望月真理カンタコレクション」
第2回 「アフリカン・デザイン/コンゴ・クバ王国のラフィア布」
第3回 「インドシナの染織/ラオス、カンボジア、タイ、ベトナム、ミャンマー」
第4回 「シルクロード、彩りの道/空間工芸としての絨緞、布、陶器」
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第1回 「バングラデシュの宝物〜望月真理カンタ刺繍コレクション〜」
●2008年7月12日(土)〜29日(火)/水曜休館/11時〜17時半
● 趣旨=刺繍家・望月真理さんが30年の歳月をかけて蒐集したバングラデシュ伝統のカンタ刺繍を展示。望月さんによるワークショップや関連イベントも開催します。
●イベント、レクチャーなど
◆北インド古典音楽演奏会
・ 20(日)、21日(月曜・祝日)・両日とも14時〜(約1時間)/インド音楽に魅せられた日本人によるユニットです。北インド古典音楽をお楽しみください。
・ 出演=20日シタール沼沢ゆかり、タブラ石田紫織/21日シタール沼沢ゆかり、タブラ藤原俊吾
◆バングラデシュのティータイム
・19(土)、20(日)、21日(祝日)/「バングラデシュ女性シェフ手作りの伝統的揚げ菓子」と「100人のレシピから作られたおいしいチャイ」をサービスします。
◆サリー着付け体験
・20(日)、21日(月曜・祝日)/バングラデシュ出身のショマさんによるバングラデシュ・ファションの解説も(3時頃から)。豪華なジャムダニ織りのサリーや、逆に日本ではあまり見る機会がない地元女性の普段着のサリーも見られます。
◆ワークショップ 「カンタ刺繍体験」(望月さんと一緒にチクチク!)
・①7月25日(金)/②7月27日(日)・両日とも13時30分〜15時/予約不要、先着順、無料・針・糸・布は用意します。
◆ カンタトーク&スライド
・ 望月さんを囲んで、スライドを見ながら、旅や蒐集のエピソードなどをお聞きします
・ 7月26日(土)・13時30分〜15時・予約不要、先着順、無料

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第2回 「アフリカン・デザイン〜コンゴ・クバ王国のラフィア布を中心にした布世界〜」
●8月8日(金)〜18日(月)/水曜休館/11時〜17時半
●趣旨
・マチスやクレーに多大なる影響を与えた民族美術として世界的に評価の高いテキスタイルアート(芸術的布)をご紹介します。ラフィア椰子の若芽を裂いて糸に紡ぎ丹念に織り上げた布に刺繍、アップリケ、パッチワーク、ビロード、ドローワークなどの多様な技法を用いて表現された摩訶不思議なモチーフは見る者の心に元気を与えてくれます。ある文化人類学者が「魂のこころ模様」と表現する繰り返される幾何学的結晶体のようなパターンは「無意識の領域」に入り込み、硬直した心を解きほぐしてくれるようです。
●イベントなど
◆コラ・コンサート
・8月17日(日)14:00〜15:30/マリの誇る世界的ミュージシャン、ママドゥ・ドゥンビアさんによるコラやゴニのコンサート。丸い瓢箪から作られた珍しい楽器によるパワーと楽しさあふれる演奏です。

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第3回 「インドシナの染織 〜暮らしの中心に布のある人々 ラオス、カンボジア、タイ、ベトナム、ミャンマー〜 」
●8月28日(木)〜9月7日(日)/水曜休館/11時〜17時半
●趣旨
・ラオス、カンボジア、ミャンマー、タイなど、インドシナの国々では、古くから布が生活に欠かせないものとして生活の中にありました。クメール民族の高い芸術性を表したアンコールワット遺跡群のレリーフ(壁画)に登場するアブサラス(天女たち)は、天上の神様から色とりどりの絹糸を地上にもたらした女神であると言い伝えられています。正装用の腰の布や肩掛けなどはもちろん、普段着でもさっと布を纏うだけで正装する意味となり、大切なお客様に対しても失礼にあたらないと言われています。もちろんその地域や民族に伝わる文様は、先祖から受け継がれた織り手の心が織り込まれていることでしょう。大切な赤ちゃんを病気から守ったり、尊敬される長老の長寿や家族の健康を願い、身に着ける人々が守護霊とともにあるように、心を込めて織られたり刺されたりしてきた布たちばかりです。今回は、柳清子さん(ラオス)、望月真理さん(ベトナム)、ユンリーカクダさん(カンボジア)のコレクションを中心に、インドシナ全般からたくさんの布たちをご紹介いたします。
●イベント、レクチャーなど
◆ラオスのスライド上映&レクチャー『古き良き時代のラオス』
・8月30日(土)13:30〜15:00/講師:コリン・グラフトン・元ユネスコ職員だったコリンさんが撮った1970年代ラオスの貴重な映像です
◆スライド&レクチャー『ベトナムの山岳民族』
・9月2日(火)、7日(日) 各日13:30~15:00/講師:望月真理・2日「ベトナム北部の山岳民族」(華やかな民族衣装満載の映像)・7日「ベトナムのロロ族など」(奥地少数民族の貴重な映像)
◆望月真理・刺繍ワークショップ(シリーズ2回目)
・9月5日(金)、6日(土)13:30~15:00頃まで/材料準備の都合上、各日とも先着20名まで/費用:材料費実費として1000円。針、糸、布は用意します/望月真理さんを囲んで、ベトナム山岳民族アカ族に代表されるの三角形のアップリケ技法を習います

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第4回 『シルクロード、彩りの道〜空間工芸としての織物、布、陶器〜 』
●9月13(土)〜30日(火)/水曜休館/11時〜17時半
●趣旨<暮らしに息づく工芸美>
・手仕事が、歴史であり情報であり娯楽である。そんな暮らし方。西アジア〜中央アジア〜西南アジア、いわゆる「シルクロード」。沙漠や草原での遊牧生活から東西文化が融合するオアシス都市まで、この地域には、多彩な暮らしの美が、いまも息づいています。部族の歴史と美学が凝縮した手織りの絨毯、キリム、テントベルトは、実用的な家財道具であると同時に、天幕生活を彩る沙漠や草原のインテリアでもあります。細密に刺繍されたミラーワークは、魔よけの意味と同時に強烈な日差しに煌めいて独特の美の世界を作ります。また花嫁が持参する刺繍布スザニは、家族や親族の女性が集まって美しい色合いで花や太陽などを大胆に施し、生活空間を飾ってきました。都市に目を移せば、モスクや廟など中世からの建造物が、今も多くの人々を集めています。輝くように美しいこれらの歴史的建物を彩るのは、最高の技術で作られた装飾タイルです。土を素材とする建築装飾の技術は陶芸の発展と一体であり、陶器においても歴史ある産地が個性を競ってきました。シルクロードでは、工芸が美術館ではなく暮らしのなかにあります。インテリアというよりも「空間工芸」ともいえるような時空間。その色、模様、手法は、地域により部族により、じつに多彩でありながらも、どこか共通するシルクロードの民の匂いを持っています。そしてその匂いは日本人の感性にもなじむ懐かしさがあります。そんな匂いを存分にお楽しみください。
●イベント、レクチャーなど(開催日順)
◆シルクロードの響きコンサート
・ 9月14日(日)=13;30〜14:30
・ 出演=カシュガルラワップの名手アブドセミ・アブドラフマン(東京芸術大学大学院音楽研究科博士課程)+ウイグルの歌姫ヌルグリ・アイサ(同・研究員)
◆バローチスタン旅の映像 トーク&スライド
・ 9月15日(祝日) 13:30〜15:00
・ 「バローチ族の民俗と絨毯〜911直後のバローチスタンの旅の映像から」
・ 講師=村山和之(和光大学講師)+榊龍昭
◆ウズベキスタン・ダンス&ミュージック
・ 9月21日(日)=13:00〜13:30/15:00〜15:30
・ 出演=YULDUZ&生徒
◆<カフェ・バグダッド コラボ企画> ペルシャ語を味わう〜イラン現代詩、朗読の世界〜&サタールミニコンサート
・ 9月23日(祝日)=13:30〜15:00
・ 出演=小野寺菜穂(東京外国語大学大学院地域文化研究科博士後期課程ペルシア語専攻)+北川修一(サタール演奏)+聞き手:カフェ・バグダッド
◆もっと知りたい 絨毯とキリムの世界
・ 9月28日(日) 14:00~16:00
・ 「毛織物から読み解く&体感する〜シルクロードの文化と暮らし」
・ 講師=村田清(トルクメン絨緞研究家)+矢野ゆう子(キリム作家)+榊龍昭
◆ギャラリー・トーク(ミニ講座)
・ 期間中の毎土曜日 13:00頃〜
・ 基本的な絨緞やキリムの知識、遊牧民の暮らしなどについてのミニレクチャー。見方がグッと違ってきそうです。
◎プレゼント◎
* 美しい世界の手仕事プロジェクトの趣旨に賛同してくださったメルシャンさんより、手仕事ファンの皆さんにワインをプレゼント!「おいしいワイン〜酸化防止剤無添加〜」(720ミリリットル)を合計で800本も提供してくださることになりました(期間中の土日祝日各日100名に)。どうもありがとうございました。

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2008年美しい世界の手仕事プロジェクト終了のご挨拶
2008年7月よりスタートした「美しい世界の手仕事プロジェクト」は、第1回「バングラデシュの宝物」、第2回「アフリカン・デザイン」、第3回「インドシナの染織」、第4回「彩りの道、シルクロード」のすべての開催日程を無事終了いたしました。そして会場の撤収作業も10月2日に無事に終了しました。
● 保守的な感想かもしれませんが、「無事に」というのは、やはり何よりホッとすることです。来場者の方が不快な思いをしたり、会場を提供していただいたハウスクエア横浜さんや貴重なコレクションを貸してくださったコレクターの方々ご迷惑をかけたり、イベントで盛り上げてくださった出演者の方々がイヤな思いをしたり、、というようなことがないように、、まずはそのことを願ってきました。
● ご感想や評価は様々だと思いますが、今はとにかくホッとしているというのがプロジェクトメンバーの共通した感情です。そして、応援してくださった多くの方々への感謝の気持ちでいっぱいです。皆様、本当にありがとうございました。
● 「手仕事のもの」が好きな数人が集まって進めてきた「プロジェクト」、多くの方々のご支援によって、好きがかたちになり、かたちが時空間となることができました。参加者が展示を熱心に見ていらっしゃる様子、手仕事好き同士で話が弾んでいる様子、真剣なワークショップの様子、関連するイベントでの笑顔、そんな光景の数々が、長丁場のプロジェクトを支えてくれました。
● 「美しい世界の手仕事」を「好き」であることが、さらに、動きになり、兆しになることを願って、今後もメンバーそれぞれが各々の持ち場で精進していく所存です。ありがとうございました。
